「わたし、なにやってんだろう・・・・・」 夜のちょっと肌寒い風を頬に浴びながら、誰もいない部屋でわたし は窓に頬づえをついてお城の方をぼ−っと眺めていた。お城ではミモ ザ王女の王位継承を祝うパ−ティ−が行われていて、華やかな音楽が 聞こえてくる。 本来なら、招待されたわたしもあそこにいなければならないわけだ が、わたしはそれを丁寧に断った。 どうしても、あそこの場にはいたくなかったのだ。必然的に彼と彼 女が楽しそうにしているのを見ることになってしまうから。 彼女はとてもかわいい。そして性格も優しくて明るい。彼が彼女の ことを好きになるのも仕方ないかもしれない。 けっこう長い間彼と一緒だったが、彼があんなに愛おしそうに誰か を見つめるのはたぶん、今までになかっただろう。どうやらその眼差 しには彼女は気づいていないらしいが。 「まったく、アイツも報われないなぁ・・・・」 わたしはクスクス笑いながら、心にあることを決心した。彼女はも うすぐ自分の正直な気持ちに気づくことだろう。その時、きっと彼女 はわたしに相談を持ちかけてくる。そうしたら、なるべく彼女自身の 力でやり遂げさせてあげよう。それが一番イイ・・・・。 わたしは目を閉じて深呼吸をひとつした。 自分の中でモヤモヤしていた気持ちをすっきりさせ、二人の笑って いる姿を想像する。後悔なんてしない。迷わない。 「明日もきっとみんなと笑っていられる」
1998年3月23日(月)13時53分19秒投稿の、瑞希 亮さんの新5巻予想ショートです。