Sweet-heart

I

 今までこんなことになるなんて思ってもいなかった。
 あなたと一緒になる日。
 あなたと…結ばれた日。
 甘く…せつなく…苦しいキス。
 大胆になる…あなたの前では。…もう止められない時間。
 誰にも見つからないように、こっそりと。
「……っ………」
 息ができないほどの深く長いキス。
 ねぇ…あなたは今どんなことを考えてるの?

 ねぇ わたしのこと好き?            「…あぁ」
 愛してる?                     「…あぁ」
 わたしのにおい好き?              「…あぁ」
 わたしのキス好き?                「…あぁ」

「………ねぇ 息できないよ………」
「…いいんだよ、それで。」
 体が熱くなってくる。
 あなたの体温。あなたの鼓動。…伝わってくる
 女の瞬間 ――― …あなたと溶け合った時。

               *

「あれっ!? パステルなんか綺麗になってないか?」
 朝起きてクレイに言われた。
「そうですね、なんか昨日と違うような気がします。」
 キットンまでわたしを見て言った。
 鏡を見てみるけど、自分じゃ変わっていないような気がする。
「よう!」
 トラップの手が肩に触れる。
 ―ドキッ―
 あのことを思い出して顔が赤くなっていくのが分かった。
「パステル、顔、真っ赤になってるぞ。熱でもあるのか?」
「ううん! 気にしないで。」
 ちょっと慌ててしまう自分がかわいいかもしれない。
 顔を少しひやそうと洗面所に行く。
「ひゃあ!!」
 後ろから抱きつかれた。
「ト、トラップ! 誰かに見られるじゃない!」
「いいじゃねーか。少しくらい。」
 そう言いながら手を腰の辺りまで回してくる。
「もう!!」
 困りながらも少し嬉しい顔になってしまう。
「んじゃ、キスだけな。」
 そういって甘い甘いキスをする。
 息をするのを忘れてしまうぐらいに…
「やっぱこれだけじゃ、物足りないよな。」
「もう、トラップ! みんなの前でそんなこと言わないでよ。」
「へっ? あぁ…一緒に寝たこと?」
 かあぁぁぁぁぁぁぁ…
 顔は見る見るうちに赤くなり、よろめいた。
「おっと!」
 倒れるまえにトラップが支えてくれた。
 そしてわたしにはうれしい一言を言ってくれた。
「おい、しっかりしてくれよ。オレの大事な人なんだからな、おまえは。」

 好きになって良かった。あなたのことを。
 好き…大好き…愛してるよ、トラップ。

II

 ひとかけらの涙。
 私達2人を月の光が照らす。
 あなたに会ってまだ間もないのに……この気持ちは止められない

 キス…好きな人にしかできない行為。
 好きなあなただからできる行為…あなたにだけ…捧げるキス。

 あたたかく包んでくれる――優しくキスをしてくれる。
 不安な気持ちが和らぐ。もっと欲しくなる…あなたが

「……………んっ……ッ………」
 唇を何度も何度も重ねる。
 自然と離れる度にあなたの優しい顔を見る。
「…どうしたの?」
 優しい目からギアの目が真剣な目になった。
「オレ、パステルの全てを知りたい。……パステルと結ばれたい。」
 いいという代わりにコクリとうなずく。
 そのままベットに座り、キスの続きをし始める。
 
 素肌に月の光があたって綺麗に見える。
 そんなことを考えながらも、あなたのことをすこしずつ知っていく。
 触れあう肌――ふれ合う心。
「はぁ……んっ……」
 あなたのキスが優しく向かえてくれる。
 ベットの中でぐっすりと寝てしまったあなたの頬に軽くキスした。
「…おやすみ、ギア。」

                     *

 朝になると後ろ姿のギアがいる。
「おはよ、ギア」
 振り返るギアは昨日よりもずっと近くに感じる。
「おはよう、気分はどう?」
 ベットの端に座って服を整えてる。
「…もちろん、いいよ。そうだ! 早く服着替えなきゃ。もう、みんな起きちゃってるかな。」
 今はパジャマ姿。その格好でギアの部屋を出てきたのを見られるとやっかいだから。
 ガチャリ。
 こんなときだけはタイミングよく人に見られるようにでもなっているんだろうか。
「やぁ、パステル。おはよう!」
 クレイの声が響く。
 気づいてないみたい。
「お、おはよう。」
 気づかれないうちに早く部屋に戻ろう。
「…おい、おめぇ何でギアの部屋から出てきたんだ?」
 クレイの後ろにいたトラップが言った。
「えっ、な、何の事?」
 しらじらしく言ってしまう自分が悲しい。
「とぼけんな! しっかり見てんだぜ!!」
 うぅっ、こうなっては弁解できないかな。
 そう思っているときにギアが部屋から首を覗かせる。
「あぁ、昨日パステル、オレの部屋で寝てたんだよ。」
「はぁ!? おい、どーゆう意味だ!!」
「…うーん、そうだな。2人一緒になったってことかな。」
 それを聞いたトラップが今度は私に聞こうと肩を掴んだ。
 が、それをギアが払いのけ、極めつけの言葉を言った。
「パステルに手を出すなよ。全部、オレのものなんだからな。」
 そう言って、私を連れてその場を去った。
 しばらくトラップ達はそこに立ち呆けていたらしい。

「もう、ギアったら。トラップ達にあんなこと言っちゃって!」
「…でも、本当のことだろ。パステルはもうオレのもんなんだからさ。」
 そう言って、何気なくキスする。
 
 ギアに奪われた、わたしの全て。
 全部あげたかったわたしを―――あなたに。
 それが今叶えられた。あなたによって。

 ギアに捧げる……わたしの愛を。

 1998年8月25日(火)00時22分20秒、8月25日(火)23時27分16秒投稿の、みすなさんのラブラブ(笑)小説。あ、はなぢ……(爆)

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