第1弾 〜準備完了・出発だ ノ巻〜 あたしは今年で18歳になろうとしている「じょしこーせー」である。 多趣味でわがまま、のんびり屋。 因みに今のマイブームは小説を書くこと。 変な性格だと自分でも認める変人(笑) 刺激のない今の生活に嫌気がさしてきた。 そんなあたしが最近、興味を持った人物がいる。 名前は……ギア・リンゼイ。 「やったぁぁー!!! ついに出来た。これで、これで…じゅるっ」 おおっと、いけない。口からよだれが出てしまった。 あたしは自分の欲望を達成するために、ある実験をしていた。 その実験はというと…FQワールドにタイムスリップしてしまうという代物を作るため。 失敗が179回。 最初はアフリカ、次は自分の家の屋根裏、3回目は太平洋戦争の中にタイムスリップ したのだ。 あぁ、これは自分でも驚いてしまったが(今までのは驚かなかった)、子供から大人まで に人気がある某アニメ「サ○エさん」の中に入り込んだなんてのもあった。 そんなこんなで91日。 やっと完成…だと思う。 今までとは違う手応えがある。 「こうしちゃいられない。準備だ、準備」 修学旅行で買った大きなカバンを引っぱり出す。 「まず、服と下着…それから何がいいかなぁ」 部屋に落ちている物をなんとなく入れてしまう。 「はっ! いけない!! 大事な物を忘れるところだった」 せまい部屋にある高さ180cmの本棚。 その中から、今まさに旅に必要だろうと思われる本を選び出す。 厳選して選んだ本は合計5冊。 1冊目は『正しい爆弾・ライフルの使い方』 この本は最初に買った思い出のぎっしりつまった物である。 2冊目は『お弁当のおかず<冷たくなってもおいしいお弁当>』 高校生活において必需品な1冊であろう。 3冊目は『超目玉! これであなたもお金持ち!!』 あらゆるお金の稼ぎ方が載っているこの本は捨てがたい。 4冊目は『愛−それはいつまでも君の側にいる魔物−』 コメディー風にしたてた本である。主人公のマヨ君とヒロインのネーズちゃんの恋物語 を描いた一品だ。 5冊目は…是非、みんなにもおすすめしたい1冊だ。 『男の口説き方・パート8』 この本がなかったら今の自分はいないだろうと思う。 丁寧にその本を入れるとカバンの中はいっぱいになってしまった。 「そろそろ出発しちゃいますか」 タイムスリップできるマシンに電源を入れる。 その間は全部の電器を消さないと停電になってしまうので辺りは真っ暗。 マシンだけが光っている。 カバンを背負い、さあ行くぞと足を1歩踏みだしたところで重要なことを忘れていた。 カバンをそこに置いて、また本棚へと向かう。 「えーっと…」 1冊の小説を取り出す。 『新フォーチュンクエストD真実の王女<下>』を読み返した。 「ギアは今どこにいるんだろう?」 FQワールドに無事ついてもギアに会えなければ意味がない。 「ふむふむ…今はダンシング・シミターと一緒なのかぁ」 情報を仕入れてふたたびカバンを背負う。 「では……出発!!」 マシンのボタンを押すと何千ボルトの光が部屋を覆ったようだ。 あたしは無事にFQワールドへ着けるのか? 憧れのギアに会えるのだろうか!? これはまた、次のお話で。
第2弾 〜見つけちゃった ノ巻〜 FQワールドへとタイムスリップしたあたし。 ちゃんと成功したんだろうか? 結果は後もう少しで分かる。 ドッシーン!! 「…く〜っ、痛い」 見事に腰を打ってしまった。 「はうっ! ここはどこ??」 周りを見渡してみる。 木がたくさんある。 「う〜む」 どこなんだろう? FQワールドだったらズールの森かエマーソンの大森林かさてはバウワウの森なの だろうか。 止まっていても何も起こらない。 よしっ、歩いてみよう。 1歩、2歩、3歩…… 「これが本当にFQワールドだったら…あたしは今、その大地を踏みしめている!!」 これでギアに少しは近づけたかな。 それにしても見渡すかぎり木しかない。 「あれっ? あそこになんかある」 草むらのところに水色の物体が見える。 興味津々で近づくとそこにはぷよぷよした動きが。 「これぞまさしくスライム!!」 逃げるどころか手に取ってみる。 ぶにょぶにょっとした感触が伝わってくるではないか。 「これを倒しているのね…」 感動に浸っていると今度は話し声が聞こえてきた。 とっさに草むらの中に隠れてしまう。 「…別に悪いことしてるわけじゃないんだけど」 ちゃんと見えるように頭だけは出す。 うーん…まだよく見えないなぁ。 あたしの視力は右0.7左0.4。 「しまったぁぁぁぁ!! メガネでも作っておけば良かった」 気づいてからじゃ遅すぎた。 けっ、メガネがなくても生きてやる。 いらぬ事を考えていると話し声しか聞こえなかったのが人影まで見えるようになった。 「あたしに見られる第1号者は誰になるんだ」 ごくり。 生唾を飲み込む。 おおっ、だんだんと見えてきたぞ。 2人組のようだ。 なんか片方はおでこのあたりが光っているぞ。 もう片方は細い体をしてるなぁ。 さぁ、もうちょっとで見えてくるぞ。 20m…19m…18m…あれっ!? なぁんか見たことあるような…………あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! あの黒髪! あの長身! あのナイフで削ぎ取ったような端整な顔立ち!! まさしくギアだぁ!! やっぱかっこいいなぁ。 パステルったらこんないい男をのがすなんてもったいない! 彼らが目の前に来るまで、あたしはいつの間にか見とれていた。 あたしがこの後、どういった行動をしたかって? それはまた次のお話でね。
第3弾 〜会えた喜び130% ノ巻〜 無事にFQワールドについたあたし。 着いた所は森の中。 いきなりギアに会えるなんて、ちょっぴりも思ってなかった。 神様はけっこうイタズラ好きなのかしら♪ 心構えもないまま、ギアを見つけることができたのだった。 「ぽ〜〜〜〜〜〜っ…………」 ついついうっとり。 1歩1歩とギアが近づいてくる。 来るぞ来るぞ……来たぁぁぁぁ!!! 今まさにあたしの目の前をギアが通り過ぎようとしている。 うっひぁぁ! どっひぁぁ! ワオーンッッ(犬化) 嬉しいよぉ(涙) あら、後ろ姿もす・て・き! よし! 後を追うか。 「…んっ? ちょっと待て」 後を追うにしてもそれじゃ怪しすぎるような。 それにつけ狙うなんて、今で言う 「ストーカーになっちゃうんじゃないか?」 『じょしこーせーストーカー、ここに現る!!』 明日の新聞のトップ記事を飾っちゃうじゃん。 いかん、これでは完全に追放されてしまう(いったい、誰に?) でもここで見失うのは心苦しい。 「こんなときはあの本を読もう」 修学旅行のときに買ったバックに入っている、選び抜かれた5冊の本のうちの1つ。 『男の口説き方・パート8』を拡げる。 何度も読んではいるものの、読み返す度に感心させられてしまう。 「ふむふむ……まずは声をかけてみること。なるほど」 声かぁ。 じょしこーせーにも関わらずナンパされたこともない。 逆ナンパの経験もない。 あたしは親しい男から口説くタイプ。 ナンパ風にいけばいいのかな? そんなこんな考えているうちにどんどんギアは離れていってしまう。 あたしは女だ! こんなときにためらってどうする! 一か八かだ!! 草むらに隠れていた姿を現し、でっかい声を出した。 「ギアァァァァァァァァァァァァァーーーーー!!」 これで気づかない者もいないだろう。 後ろから呼ばれたギアは振り向いた。 「…あんた誰だ?」 うっひゃぁ! ギアの声だぁ。 「えっと…あたしは…」 あたしが話している途中にダンシング・シミターが口をはさんできた。 「怪しい奴はほっといて先に進むぞ」 「…あぁ、そうだな」 おいっ!? ちょっと待て!! 紹介もまだしてないのに勝手に行くなぁ!! 先に進もうとしていたギアの服のさきっぽを掴んだ。 ズズズズッ… 引きずられても根性だ。 手は放さない。 重かったのかギアは立ち止まった。 「…放してくれないか」 静かにしゃべる。 さすがクールと聞くだけある。 こんなときも冷静だ。 でも、放してくれと言われて「はい、それじゃ」といって放すあたしじゃない。 「話を聞いてくれたら、放してもいいけど」 ギアはしょがないといった感じでため息をついた。 同じくその様子を見ていたダンシング・シミターもだ。 きっかけは作った。 これからが勝負! 次回予告:ついにあたしの名前が公開!? ギアに話す内容は?? 〜公開! あたしの正体は? ノ巻〜 お楽しみに。
第4弾 〜公開! あたしの正体は? ノ巻〜 なんと! ギアに会えたあたし。 ちょっと強引だったけど話を訊いてもらえることになった。 「…女、用件を早く言え」 ダンシング・シミターが冷たい視線をよこす。 「…早く言え…ねぇ。そんじゃ、単刀直入に言っちゃうわよ」 あたしが言いたかったこと、それは! 「パーティにあたしを加えてほしいの」 「「はっ?」」 2人共『なんだそりゃ』って顔してる。 「本気のホンキ、大ホンキよ!!」 ちょっと言葉の表現が変だけど雰囲気は伝わると思う。 「…冗談じゃない。見知らぬ者を仲間にするわけなかろう」 堅い…堅いやねぇ、ダンシング・シミター。 いいじゃないの。 水戸黄門だって『うっかり八兵』みたいな変わったキャラを仲間にしていたじゃないか。 まぁ、水戸黄門を切り出したって分からないだろうけど。 予測していたさ、そう言われるんじゃないかと。 対策はバッチリさ。 「お客さ〜ん、あたしゃ知ってるんですぜぇ」 手をすりすりと合わせながら近づいていく。 「ギアがパステルにプロポーズしたことや…」 今まで冷静を保っていたギアが体制をくずした。 「2回目のギアとダンシング・シミターの対決って、またギアが勝ったんだよねぇ…」 今度はダンシング・シミターのおでこに血管が浮き出た。 「あっ、因みにパステルがミモザ王女の代わりをしてたときにウォーマンモスに襲われた ことも知ってるよん」 ふーむ。まだ仲間にしてもらえないのか。 仕方ない。自分で言うのも悔しいがアレを言ってしまおう。 「ダンシング・シミターの旦那は知ってるのかねぇ。ギアったらパステルと別れのあいさつを してたとき、いきなりパステルの腕を引っ張って…キ……」 「わかった」 ちょうどいいところでギアが口をはさんだ。 「おい、こんな得体の知れない奴を仲間にするつもりか!?」 ちょっと嫌そうに訊く。 失礼極まりないぞ。 「オレ達のことを知っているんだ。…それもオレとパステルしか知らないことを。何か 知らないが、そのままにしておくと嫌な予感もする。危険だと思ったら仲間から外せば 済むことだ」 そんな…人を魔物か害虫みたいに言わないでくれ。 「それじゃ、パーティに入れてもらえるみたいだね」 「しょうがない。…だが、女! 妖しいと思ったら遠慮なく攻撃することを忘れるな」 にゃはは…まだ警戒心が旺盛なのね。 次々と腰を上げてまた歩き出す2人。 「何をしている。行くぞ、女」 「…女って。あたしにはちゃんと名前があるんだから」 「そういえば名前を訊いてなかったな。オレはギア・リンゼイ。紹介しなくても知っている ようだが」 「…ダンシング・シミターと呼ばれている」 「あたしは日本の南側にある鹿児島ってところから来た『ミスナ』。よろしくねん」 あたしの名前を訊いた2人。 いきなり「プッ」と吹き出した。 「…ミスナか…変な名前だな。女にはぴったりだ」 「いーじゃない! 短くて。本名出すわけにはいかないのよ。そこんとこ分かってよね。 でもそっちこそ、ダンシング・シミターなんて長すぎるわよ。せめて『ダンちゃん』とか 『ダーちゃん』にすればいいのに」 「確かにそうだな」 あははっ! 自分で言ってて笑ってしまう。 ダンシング・シミターの血管のふくれ具合がさらに上昇しちゃってる。 そのことには触れず、違ったことを返してくる。 「おい、女。さっきから気になってたんだが…」 もーっ、また女って呼ぶ! 「なぁに?」 おもいっきりほっぺたを膨らませる。 「おまえ、手に何持ってるんだ?」 手? 目線を下に向ける。 ぷにぷにっとした感触。 透明感のある色合い。 「あー……これね」 びよよ〜んと伸ばし 「さっき見つけたんだ、スライム」 ぷるるんっと元に戻るのを見て、喜ぶあたし。 小さな声で話しをするギアとダンシング・シミター。 「本当に大丈夫なのか、この女?」 「…もう少し様子をみてからだな」 そんな会話をしてるなんて知らないから、はしゃぎまくっていた。 「ねぇねぇ」 「なんだ、女」 不機嫌そうな顔をしてるダンシング・シミターにあたしは訊いた。 「スライムっておいしいの?」 「…そんなもん、知るか!」 怒ってずんずんと前に進んでいってしまった。 「ケチ! 教えてくれたっていいじゃない」 「この森は早く出たほうがいい。話は宿屋でゆっくり聞こう。遅れずについてこいよ」 そう言ってギアも行ってしまった。 あたしはスライムを草むらに戻し、その後をついていった。 森の中の道はまだまだ続いていた。 次回予告:パーティの一員になれたあたし。 でも、まだ正体が分からないと警戒心を燃やすダンシング・シミター。 あたしも負けずに抵抗してやるぞ!! 〜闘魂!? 無駄口の嵐 ノ巻〜 お楽しみに。
第5弾 〜闘魂!? 無駄口の嵐 ノ巻〜 FQワールドへ無事に着き、ギアにも会え、一時仲間に入れてもらえることになった。 でも、2人の警戒心は解けないみたいでピシッとした空気を張りつめたまま、宿屋へと 着くのだった。 「おい、女。金は持っているのか?」 お金? あぁ、そっかそっか。 宿屋もただじゃないんだもんね。 両方のポケットをごそごそさせる。 一枚のお札が入っていた。 おぉ、ラッキー! 「じゃじゃーん!! 金欠だったのにも関わらず、千円は入ってたよん」 夏目漱石さんが描かれているお札を見せるが、2人は無反応。 「なんだ、それは?」 ギアに訊かれて気づく。 「…しまったぁぁぁぁぁ!!」 FQワールドで日本のお金が使えるわけないじゃん! なんという初歩的初歩を考えていないんだ。 この世界じゃ、紙切れ1枚にしかならん物になってしまった。 「一文無しか」 「……トホホ、その通りでございます」 ちょーっと後悔。 ココに来るまえにFQワールドのお金を偽造(良い子は真似をしてはいけません)して おけば良かった。 「しかたない」 そう言ってギアは宿屋の主人に 「部屋を2つ頼む」 「何人様で?」 「…3人だ」 3人ーーーー!! じゃ、じゃあ、あたしもなのね? あぁーーー、ありがたや、ギア様! なんてあなたは心の広い人間なんだ。 ざっぷーん 「うっひゃ〜、気持ちいい」 2人と部屋を別れて、あたしはさっそくお風呂に入っていた。 これで後ろに富士山の絵とフルーツ牛乳があれば最高なのに。 たっぷりお湯の入った湯船にゆったりしていると、さっき部屋を入る前に言われたことを 思い出した。 『おまえの知ってることを全て話してもらおう』 知ってることかぁ。 手っ取り早く小説を見せれば簡単に済むことなんだけど、そうもいかないだろう。 この小説を見せる前にいろいろと補足しないとね。 お風呂から上がり、服を選ぶ。 「やっぱ、風呂上がりなんだから『お色気』がないとね」 別にそんなもんなくてもいいけど、せっかくだから。 何着か持ってきた服を見てみる。 あたしは問題点があるのに気づいた。 「…愚かだった」 日本にいたときに、そんな服を買うわけがなかったのだ。 だから、もちろんここに持ってるわけがない。 「…下着姿で…」 余計にあやしまれて剣で切られる可能性があるな。 普段に着ている服を選び、身だしなみを整える。 「それじゃ、お隣へ行くとしますか」 ギアとダンシング・シミターがいる隣の部屋へあたしは行った。 「お邪魔いたしまーす」 そう言ってドアを開けると即答でダンシング・シミターが言った。 「本当に邪魔だ。またの機会にしろ、女」 「ありゃ、そうでしたか。こりゃまた、失礼いたしやした」 扇子で頭をペンっと叩き、開けたドアを閉めた。 閉めた後の沈黙。 何であたしは閉めたんだ? 確か、邪魔だって言われて閉めたんだっけ。 「…ちょっとーー、何であたしが邪魔なのよ!!」 閉めたドアをまた開けた。 そこには呆れているダンシング・シミターが座っている。 「おまえが『お邪魔します』と言って入ってくるからだ」 「それは礼儀でしょ。本気にするな!」 「そっちこそ、本気にして閉めるからだろう」 「なによ! こっちは扇子まで出したのよ!!」 頭をペンっと叩いた扇子を見せた。 「そんなもの知るか」 沈黙のにらみ合い。 「…ギアはどうしたの?」 「あいつは風呂だ」 お風呂場のあるほうを指さす。 「おまえが来るのが遅かったからな」 ムムッ!! 確かにちょっと…いやだいぶ遅かったわよ。 これでも女の子なんだから、しょうがないじゃない。 「それじゃ、待たせてもらうからね」 強引に部屋の中に入り、空いていたベットに座りギアがお風呂から上がるのを 待っていた。 次回予告: 2人に小説を見せた、あたし。 どちらにしても残れるか帰るかの賭になった。 どっちの選択を2人はとるのだろうか。 〜賭に勝てるか? あたしのギャンブル?? ノ巻〜 お楽しみに。
第6弾 〜賭に勝てるか!? あたしのギャンブル?? ノ巻〜 ベットに座っている、あたし。 ぼけ〜っとしてると眠くなってくる。 えっ!? それならダンシング・シミターと話せばいいじゃないかって? それは止めときましょうや、おまえさん。 話し出したら最後、喧嘩になるのは目に見えてるもん。 それにあたしは、この世界に来たのは「ギア」を目当てに来たんだから。 そうそう、そのギアは今はお風呂に入ってる。 ギアがお風呂に入っている姿…。 細身の体をしてるから、きっといいボディラインしてるんだろうなぁ。 1枚、写真に収めておきたい。 あぁ、でもちょっと待って! お風呂に入ってるってことは…裸ってことで…。 全裸のギアの写真……。 きゃぁー!! うっきゃー!! あたしのエッチ!!! 「何、騒いでるんだ?」 1人で盛り上がっていたあたしの前に、お風呂上がりのギアが立っていた。 あっ! 鼻の辺りに刺激が!! ちょーっと、17歳のあたしには刺激が強すぎるわ。 もちろん、服はちゃんと来てるんだけど、想像した後だったからその反動で。 首の後ろをトントンと叩きながら、あたしは本題に入った。 「あたしが知ってることを全部話すから、おとなしく聞いててね」 持ってきた『FQ』の小説をテーブルに置き、話し始めた。 「まず、あたしのことは少しだけ紹介したよね」 「カゴシマ…がなんとかと言っていたな」 「そっ。あたしが生まれたのはこの世界じゃない。因みにあたしの居た世界も人種が たくさんいる。あたしはその中でも『日本人』なの」 「ニホンジン? 聞いたことないな」 「そりゃそうでしょ。日本人は髪が黒くて、目も黒い。まぁ、今じゃ染めてる人もいて赤や 茶色といろいろだけどね。この世界じゃ、髪の色も目の色も多種多様でしょ。そこから して、全然違うんだよ」 小説の中を開き、ギアたちの前に置いた。 「そのあたしの世界で売られていた本よ。題名はフォーチュン・クエスト。その中にパステルや クレイ、トラップ…ギア、あなたも出ている。もちろん、ダンシング・シミターも」 2人してその本を手に取り見始めた。 「その本を読んで、あたしは憧れた、この世界に。だから来たの。あやしくないとは 言えない。でも、その本を読んでくれれば、あたしが嘘を言ってないのは分かってくれる と思う。決断はすぐにとは言わない。長く考えて、それで結果を出して欲しい」 「女を仲間にするか、しないかをか?」 「そう。仲間にしてもらえないなら、元の世界に戻るわ」 「後悔はしないんだな?」 「そりゃ、するでしょうけど。ダメって言うのを押し切るほど強くないわ。まっ、考えて下さい。 結果を楽しみにしてるから」 そのまま本を置いて、あたしは部屋から出ていった。 簡単すぎたかもしれない。 今ので2人は解ったのかな? 説明なんて堅苦しいことは苦手。 でも、言ってることはホントだもん。 一つのギャンブルみたいなものだよ。 二つに一つ。 残れるか、残れないか。 一週間後のあたしはどっちの世界にいるんだろうね。 次回予告:神様に祈るあたし。 決断は早かった。 彼らの口にする言葉はどっち? 〜結果報告! ドッキドキの瞬間 ノ巻〜 お楽しみに。
1999年1月31日(日)23時41分17秒〜3月03日(水)22時54分32秒投稿の、みすなさんのコメディ。予告も、そのまま残させていただきました(笑)。継続中。