デュアンの一人称

デュアンは、最初は「ぼく」で自分を呼んでいた。
最近は、オルバの影響か、「おれ」を使うようになってきた。

それに伴って、デュアンの中に「慢心」が芽生えてきているように見受けられる。
今までになく多くのモンスターを倒し、知略を以て国家の危機を救い、「勇者」(わたしとしてはここは「英雄」と訳してもいいかもしれないと思う。「勇者」と「英雄」はしばしば、極めて類似している)と讃えられた。
その中で、慢心が芽生えてこない方がおかしいだろう。
オパールに指摘されても、それに気づくことが出来ない「慢心」がそこにあった。

おそらく彼は、これからも何度となく危機に遭遇するだろう。それも確実に。
その中で、その「慢心」に気づく日が来ることもほぼ間違いない。
問題は、その気づくきっかけが何であるか、だ。
自分の生命の危機ならまだいい方であろう。
問題は、仲間の生命の危機に直結する場合だったときだ。
彼は、それに直面したとき、どのような行動を取るだろう。

どのような結果が待っているにしろ、そのとき、デュアンは自分にとって真の「勇者」となるだろう。
そのときは、一人称はまた変わっていると、そう考えている。